ガードナーまりいちゃん7歳。まりいちゃんはダウン症で去年の春支援学校に入学し新たな日々を過ごしている。お母さんの瑞穂さんはイラストレーター。姉のりりいちゃんは小学3年生。兄のエイデンくんは小学6年生になった。ある日お母さんは新たに書いた紙芝居「フルセイマブライアの魔法」を披露した。紙芝居の主人公はまりいちゃんの姉、りりいちゃん。家から逃げ出した猫を追いかけて迷い込んだ夜の森で、1羽のフクロウと出会う。りりいちゃんは3人兄弟の真ん中。なぜ主人公にしたのかについて瑞穂さんは「りりいちゃんが「私なんて存在しなければいいんだ」と言った。すごくショックでびっくりした。ダウン症のまりいちゃんと長男のエイデンくんに育児の時間をとられていて、りりいちゃんにもっと時間を使わないとと思って紙芝居を作った」。みんなの注目を集める「特別な存在」となったりりいちゃん。しかし水に写った自分の顔を見て「私はフクロウだけど顔は人間の私のまま これじゃあ怪物だわ」。自分を変えることはできないと知ったりりいちゃん。翌朝、気づけばベッドに。すべて夢の中の出来事だったのか。末っ子のまりいちゃんがまだ生まれて間もない頃、長男のエイデンくんも学校に通えなくなった時期があった。りりいちゃんは兄と妹に一生懸命向き合う両親の姿を見て育った。明るく器用な性格の一方で、胸の内ではもっと母に愛されたいと願ってきた。この冬、お母さんはりりいちゃんのために紙芝居「フルセイマブライア」に続く絵本を書くことにした。完成までりりいちゃんには内緒。妹のまりいちゃんはりりいちゃんが大好き。りいちゃんはお母さんと2人で街に出た。チョコレートの専門店で買い物を楽しんだあと、お母さんはりりいちゃんにサプライズを用意していた。りりいちゃんに書いた絵本が完成した。タイトルは「私の手はね」。描かれているのは誰かを楽しませたり思いやって生きるいまの無邪気なりりいちゃんの姿。「おとなになってもいまの素敵な自分を忘れないで、りりいちゃんには自分のことを好きでい続けてほしいから」と願いを込めて。帰りのバスでりりいちゃんは「今日は人生で一番楽しい日だった」とつぶやいた。お母さんがちゃんと私のことを考えてくれてうれしくなったという。
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