エーザイが作っている「レカネマブ」は、日本から生まれたイノベーションという意味でも高く評価できる一方、医療の進歩によって経済的な負担が伸し掛かる面もある。アミロイドβが脳の血管周りにも付着するため、それを取り除く過程で血管が傷つき脳が腫れたり脳出血が起きたりするリスクが10%程あるという。だがアルツハイマー型認知症が改善される恩恵と比べると、そのほうが高いとの専門家の見方がある。レカネマブは、患者1人辺り年間約298万円の負担となるが、保険適用で少しは負担額が減るという。高額療養費制度を使うと、さらに下がるという。今は使える医療機関が限られているが、どんどん広まっていくと1人あたりの価格の引き下げの可能性があるという。高額療養費制度は年々増加しているのは事実。だがレカネマブを使ったからといって、高額療養費が急に上がることは今のところないという。専門家は、薬を使った結果や価格、介助者の負担を時間をかけてモニターする必要があるという。その上で、自己負担や保険料を上げるといった方向性だけでなく、いい薬だけを高くするメリハリある保険制度にしていかないといけないなどと話している。