企業や自治体などの不正を内部通報する公益通報で、通報した人が職場で不当な扱いを受けて報復されるケースが後を絶たない。消費者庁の検討会は、解雇や懲戒処分にした場合に、事業者側に刑事罰を科すことなどを盛り込んだ法改正に向けた報告書の案をまとめた。公益通報を行ったあと懲戒処分を受けた京都・京都市の50代の男性職員。公益通報を行ったのは2015年。児童養護施設の入所者が性的虐待を受けたという相談が放置されているという内容だった。しかし通報のために相談記録が記された資料を持ち出したことなどを理由に停職3日の懲戒処分を受け、直後に別の部署への異動が言い渡された。その後の裁判で、処分の取り消しや異動の違法性が認定された。男性職員は「よかれと思ってしたことで、処分を受けるまでの時が一番しんどかった」と語った。
これまで数々の組織の不正が明らかになってきた内部通報。しかし通報者に対する報復などは後を絶たず、法改正に向けた議論が始まっている。消費者庁の有識者検討会は、その報告書の案をまとめた。報復や不正の隠ぺいを目的に通報した人を解雇や懲戒処分にした場合、事業者側に刑事罰を科すことが盛り込まれた。処分を不服として通報者と裁判になった場合、通報と処分の間に関係はないと立証する責任を事業者側に負わせる。部署を異動させる配置転換や嫌がらせなどは、客観的に判断することの難しさなどから、刑事罰の対象に含まれなかった。報告書案にはこのほか、通報者を探す行為などの禁止を法律に規定することなども盛り込まれた。消費者庁は、来年の通常国会での法改正に向けて、準備を進めることにしている。公益通報者保護制度に詳しい拝師徳彦弁護士は、一定の評価をする一方で配置転換などが刑事罰の対象に含まれなかったことについて「形通りの運用しかされないと、なかなか(通報者の)保護が進まない可能性がある」と指摘したうえで、「きちんとした形で機能するようにやっていくことが重要」と述べた。
これまで数々の組織の不正が明らかになってきた内部通報。しかし通報者に対する報復などは後を絶たず、法改正に向けた議論が始まっている。消費者庁の有識者検討会は、その報告書の案をまとめた。報復や不正の隠ぺいを目的に通報した人を解雇や懲戒処分にした場合、事業者側に刑事罰を科すことが盛り込まれた。処分を不服として通報者と裁判になった場合、通報と処分の間に関係はないと立証する責任を事業者側に負わせる。部署を異動させる配置転換や嫌がらせなどは、客観的に判断することの難しさなどから、刑事罰の対象に含まれなかった。報告書案にはこのほか、通報者を探す行為などの禁止を法律に規定することなども盛り込まれた。消費者庁は、来年の通常国会での法改正に向けて、準備を進めることにしている。公益通報者保護制度に詳しい拝師徳彦弁護士は、一定の評価をする一方で配置転換などが刑事罰の対象に含まれなかったことについて「形通りの運用しかされないと、なかなか(通報者の)保護が進まない可能性がある」と指摘したうえで、「きちんとした形で機能するようにやっていくことが重要」と述べた。