テーマ「“ナフサ・フレーション”で物価上振れは起こるか」。ゴールドマン・サックス証券の太田知宏の解説。今、日本の金融政策を考えるうえでナフサを起因とするインフレが重要になってきている。今週、金融政策決定会合で日銀はインフレ率が目標を超えて上昇するリスクに言及し注目を集めた。原油高によるコスト増が価格転嫁される傾向が出てきて、近いうちにサプライチェーンを伝って大きなインフレの波になって消費者の物価に届くという。政府はほぼ全ての燃料に対して価格抑制策を導入して補助金を支給することで価格上昇を強く抑え込んでいる。ナフサなどの原料になる2割は対象外で非常に大きな価格上昇が起きている。企業物価指数はここ3カ月で急激に上昇したが、大部分がナフサ由来のインフレ。ナフサ価格上昇の価格転嫁が十分に進むことを仮定して推計すると、川上の品目では約60%の値上げが必要になる。5月時点の実際の上昇率は川上のエチレン等の価格転嫁は終了しているとみられるが、プラスチック等や合成ゴムなどはフルに価格転嫁するところまで行っていない。“ナフサ・フレーション”の影響によるCPIへの押し上げ効果は0.2~0.3%ポイント。年末まで1バレルあたり80ドル以上をキープしそうである。いろんな国が備蓄を放出したことにより積み直さないといけない。今まで以上に需要が強まって価格を支えてしまう。ある程度の原油高は続き、そのリスクに備えておかないといけない。
