小雨の降るなか傘をさし街頭で頭を下げているのはパワハラなどの疑惑をめぐり先月失職し来月17日に行われる出直し選にのぞむ斎藤元彦前兵庫県知事だ。あさ通勤する人たちに向かって頭を下げ話しかけてくる市民と笑顔で対話をし記念撮影に応じる姿も見られた。今年3月、兵庫県の元県民局長が報道機関にパワハラやおねだりなどの疑惑を告発。当初、斎藤前知事は「嘘八百」と一蹴。その後、片山前副知事らによる告発者捜しが行われ告発の事実を認めた元県民局長は今年5月、停職3ヶ月の処分となり、それから2ヶ月後のことし7月、亡くなった。斎藤前知事は告発者捜しをしたことについて先月の百条委員会で「告発というよりも誹謗中傷性の高い文書を作成したということなので作成者を捜すことは必要なこと。告発文書が公益通報に該当するとは今でも思っていない。」と述べた。さらにパワハラ疑惑をめぐっては今月11日、約9700人の県職員を対象にしたアンケートの結果を公表。そこで明らかになったのは「気に入らないことがあると机をたたいて激怒する」、「後部座席から蹴り飛ばすといった行為に及んだと聞いた」という声。パワハラ疑惑に対し斎藤前知事は「当時の私の認識は合理的な指摘」「必要な指導だった」などと主張したが先月30日付けで失職となった。知事が失職したあとも疑惑を解明するための百条委員会は続いている。ただし知事選の期間中は影響を考慮し完全非公開で行われ、尋問の映像や議事録は選挙後に公開される予定だ。あさって告示される兵庫県知事選には8人の候補者が乱立し大混戦の予想を呈している。そのなかには前尼崎市長の稲村和美氏もいる。最大会派・自民党県議団が独自候補の擁立を断念し一部県議は稲村氏を支援する動きを見せている。NHKから国民を守る党党首の立花孝志氏も立候補しているが、目的は自身の当選ではなく斎藤前知事を選挙運動をしながら合法的にサポートしたいと説明した。このほか共産から支援を受ける医師の大沢芳清氏などが立候補を表明している。