コメの価格高騰が続いている。今週発表の統計からも高値続きの現状を読み取ることができる。スーパーの平均価格は去年のほぼ倍の4077円。消費者物価指数でも米類の上昇率が80%を超えている。茨城県の農業法人の代表・横田修一さん。外の田んぼは水を入れる前、今年秋収穫予定のコメもまだ種もみだが、去年の夏以降、これまで取り引きのなかった飲食店や卸売り業者などから、今年収穫予定のコメの購入希望が相次いでいるという。例年なら夏頃まで残っている前年産の在庫も、今年はすでにほとんどなく、今週半ばにはインターネット販売を中止した。横田さんは「情勢からするともう少し続く。これから作る7年産についてはあまり変わらない状況なのかなと」語る。需要の高まりを受けた生産者側の動きを示すデータも。農林水産省が今週発表した今年収穫される主食用のコメの作付け意向。19の道と県で去年より作付面積が増える見通しだとしている。全国の合計で128万2000ヘクタールとなり、前の年を1.8%上回る。これは1月末時点の意向で今後、さらに変動する可能性もある。農林水産省はコメの価格の上昇などを受けて農家の間では増産の意欲が高まっていることが背景にあると見ている。足元のコメの流通円滑化に向けた動きも始まっている。政府備蓄米の放出。初回の入札では対象の15万トンのうち14万トン余りが落札され、今週業者への引き渡しが始まった。埼玉県内にある倉庫ではJA全農が去年産のコシヒカリ12トンを受け取った。JA全農は落札量の9割以上を占めていて備蓄米は取り引きの実績がある卸売り業者に販売することにしている。この際、消費者や流通に混乱が生じないようにするため店頭では備蓄米と表記しないよう要請している。産地と品種によっては数量が限られるケースも少なくないことから複数のコメをブレンドして販売する事例も想定されるとしている。落札された備蓄米は来週以降、店頭に並ぶ見通し。さらに農林水産省は備蓄米7万トンを対象にした2回目の入札を今月26日から行い、入札後1週間以内に引き渡したいとしている。増産に向けた動きや備蓄米の放出でコメの価格はどうなるのか。茨城大学・西川邦夫准教授「増産と備蓄米放出で埋め合わされると需給ギャップが埋まって落ち着くのではないかと思っている」。ただ、今後さらに発表される作付けの意向や需要の広がり次第で最終的なコメの価格は左右されるとしている。