高知県の北川村には山間に広がる。ここに、フランス・ジヴェルニーの庭園を再現したモネの庭がある。睡蓮の咲き誇る庭にはジヴェルニー本家公認。村役場の人がモネの庭を作りたいと現地で交渉し熱意が認められた。庭師の町田さんにはこだわりがある。モネの描く睡蓮の配色を表現したいとジヴェルニーと同じように映り込むグリーンと空との配合を考える必要があるという。ここはまさにモネが見ていた風景を再現した。午前11時には強い光がはいり、池は鏡のようになる。青空と雲が移りだされた瞬間をもモネは鮮やかに切り取った。昼下がりの気だるい空気には水面にゆらゆらと揺れる柳の葉は水に溶け合うような淡い描写で描いた。夕暮れには赤く染まる水面と、木々のシルエット。黄昏時の匂い立つ空気感までモネはキャンバスに閉じ込めた。季節や天候や時間によって一瞬たりとも同じ顔を見せない睡蓮の池。その全てを捉えようと毎日何十年もこの庭を見つめ続け描き続けていた。