2006年にデビューした北村は、新人賞を獲得したものの伸び悩み、ビッグレースには縁がなかった。全国に名を知らしめたのは34歳のときで、クロノジェネシスと有馬記念を制した。しかし翌年レース中に落馬し、背骨や首など10か所以上を骨折した。落馬4か月前に結婚したばかりだった。1年のリハビリを経て復帰したが、柔軟な動きができなくなっていた。北村は、けがを乗り越えてダービーを3回制した経験を持つ福永祐一に助言を求めた。福永は、新しい騎乗ができるチャンスととらえて今までと違う自分を目指したほうがいいと伝えたと話した。北村はいかに馬に気分良く走ってもらえるかを考え、馬の気持ちの変化に注意を向けるようになった。