テーマ「シニア専門人材」。人口のボリュームゾーンである団塊世代が全員75歳以上となり医療など様々な問題が顕在化する2025年問題が指摘され企業でも労働力不足が深刻化している。そうした中、現場では専門性を持ったシニア人材に注目が集まっている。富士通・中村記章さん(60)は新卒からシステムエンジニア一筋。官公庁向けのシステムの開発などを手がけてきた。モダナイゼーションとは老朽化したシステムを現代化。最新のアプリの導入やクラウド化することで現代の技術に適合したシステムへと刷新することをいう。企業の会計管理などに使われる基幹システムは30年ほど前に導入されたものが多く、老朽化が進んでいて今、システム更新の波が押し寄せている。そこで富士通は「モダナイマイスター」と呼ぶ認定資格を作り、専門の部署を設置した。中村さんは、その室長を務めている。現在60人ほどいるマイスターのうち半数が再雇用者。マイスターたちは今更新を迎えている基幹システムの導入期に第一線で活躍。その仕組みに精通するまさに専門家。一方、こうしたシステムで使われているプログラミング言語は若い世代にとってはなじみがなく対応が難しいのが現状。現場の若いエンジニアにとってマイスターは相談ができる頼もしい存在になっている。富士通ではマイスターに対して再雇用後も役割に応じ、一般社員並みの給与体系を維持している。シニアの経理人材に特化した派遣会社・シニア経理財務では、現在約90人が企業に派遣されていて平均年齢は67歳。