パリ五輪の新競技・ブレイキンで代表の座を狙うダンサーネーム・ISSINこと菱川一心選手(19)は目立つことが大好き。きょうの「メダルへの道」は殻を破るきっかけとなった分岐点と成長の日々に迫る。流れる音楽に即興でワザを繰り出し、技術や表現力などを1vs1で競うブレイキン。立った状態で踊る「トップロック、床に手をついて足さばきを見せる「フットワーク」、頭・背中などで回転する「パワームーブ」、一連の流れをピタッと止める「フリーズ」の4つの動きで構成されている。ISSIN選手が得意とするのはブレイキンの花形とされる「パワームーブ」。爆発的なムーブを武器に国際的な大会で優勝するなどパリ五輪でブレイキン初代メダリストの期待がかかっている。そんなISSIN選手がブレイキンに出会ったのは8歳の頃。そこから約4年後に転機が訪れる。父親に「優勝しないとダンスは終わり」と言われ、プレッシャーの中日本最高峰の大会の15歳位かの部門に出場すると豪快なパワームーブに最後はフリーズ。勝負強さをみせ12歳にして見事優勝した。父との約束を果たしブレイキンを続けられることとなった。そしてタイトルとともに手にしたのが「勝つためのコツ」。脳裏に焼き付く強烈なパワームーブに加え、誰もやっていないことへの追求はいまのISSIN選手のスタイルそのものとなっている。今年の全日本選手権・準決勝、対するのは大会3連覇中のShigekix選手。唯一早々にパリ内定を決めた日本のエース。そこでいきなり持ち味を見せつける。ISSIN選手のオリジナルワザ「ももトラ」が炸裂。左手で右足のつま先を持って肩を軸に回る高難度のワザ。このワザには誕生秘話があり、「(練習中)あんまり動かず頭痛いから人の動きを見ながらずっと頭の中のイメージで動いていて、そしたら足を持った状態で肩でキャッチするというアイデアを思いついた」とのこと。誰もやっていない大技で絶対王者を撃破。そのまま初の全日本チャンピオンに輝いた。先月のパリ五輪予選ではライバルに遅れを取ったISSIN選手。今週末に逆転でのパリ出場を目指す。ブレイキンでパリ五輪に出場できるのは最大2人。すでにShigekix選手が内定しており、残りの1枠をISSIN選手とHIRO10選手で争う。