厚生労働省は全国の事業所3万余りを対象に毎月勤労統計調査を行っていて、ことし4月分の速報値を公表した。基本給や残業代などを合わせた現金給与の総額は1人当たり平均で29万6884円と28か月連続のプラスとなった。このうち基本給などにあたる所定内給与は26万4503円と2.3%増加し、およそ30年ぶりの高い伸び率となった。一方で物価高騰の変動分を反映した実質賃金は前の年の同じ月に比べて0.7%減少した。実質賃金がマイナスとなったのは25か月連続と過去最長を更新し、依然として物価の上昇に賃金の伸びが追いついていない状況が続いている。厚生労働省は「春闘で高い水準の賃上げの動きが広がったことが所定内給与の増加につながったとみられるが、物価上昇の影響が強い状態が続いている」としている。