少子化に歯止めがかからない。ことし1月から6月までの上半期に生まれた子どもの数が、35万人あまりと統計を始めてから最も少なくなった。その要因は若い世代の減少や意識の変化などさまざまだが経済的な事情が大きいという指摘もある。都内で暮らす30代の共働きの夫婦。妻は会社員、夫がフリーランスのカメラマン。去年11月に結婚し子どもはいない。15万円の家賃のほか、仕事で必要な車の維持費などのために生活に余裕はなく、まだ結婚式も挙げられていない。少しでも生活費を切り詰めようとふるさと納税を活用して食料品を調達。また、家計簿アプリを使うなどして節約。家計の負担を減らすため引っ越しも検討しているという。今の若い世代は前の世代に比べ実質的な賃金が低いというデータがある。今の収入では子育てどころか結婚自体も考えられない人も。都内で1人暮らしをしている古川さん。派遣社員で経理の仕事をしていたが簿記2級の資格を取得し半年ほど前正社員になった。月収は8万円ほど上がったが家賃や光熱費のほか奨学金の返済が年間20万円近くあり、今は結婚や子育ては考えられないという。こうした状況について専門家の日本総合研究所・上席主任研究員の藤波匠さんは「企業がしっかりと賃金を上げていくことが重要。2030年までがラストチャンスという思いで、少子化対策に取り組んでほしい」と話す。国は児童手当の拡充などさまざまな子育て支援策を実施している。しかし、少子化に歯止めをかけるには若い世代の賃上げのほかにも例えば共働き世帯で夫婦それぞれが仕事と子育てを両立できるような働き方に改善していくなど様々な側面からのアプローチが必要だと言える。