厚生労働省が、従業員101人以上の企業に対して、女性の管理職比率の公表を義務づける方針案を示した。国の調査によると、全国の企業で管理職に占める女性の割合は12%余りと、国際的に見て低い水準。公表を義務づけることで企業に積極的な登用を促していくことがねらいだが、女性が長く働き望めばキャリアアップできる職場を作っていくためには、何が求められているのだろうか。中小企業で営業の仕事をしている30代の女性。転職を検討していて、企業を選ぶうえで女性管理職比率の公表が重要だと考えている。テレワークなどでも仕事がしやすく、子育て中の女性が成長を目指せる会社を探している。転職の相談を受けている人材サービス会社は、公表の義務化が企業の登用を促すことにもつながると考えている。女性管理職の比率を公表し、積極的な登用を進めている企業も出てきている。全国で173店舗を展開するホテルチェーンは、およそ130人の正社員のうち半数が女性。取り組みを強化し始めた2011年度は、女性管理職の割合が13%余りだったが、今年度は28%余りに増加している。女性が働く場をフロントや接客だけでなく、営業や企画にも拡大。こうした取り組みにより客層も多様になり、売り上げの増加につながっている。会社では今後、子育て中の社員への配慮として、育休からの復帰後一定期間は宿泊を伴う出張に行かなくても、管理職のままでいられる制度を設けることも検討している。こうした一連の取り組みで、男性の社員も働きやすくなっている。管理職候補の男性は「男性と女性がある程度同数いる方が、いろいろなサービスの開発やスピード感を持ってできることが多いのではと実感している」と述べた。国は管理職など指導的地位に占める女性の割合を2020年代の可能なかぎり早期に30%程度になるよう目指すという目標を掲げている。女性管理職比率の公表義務化の方針について、厚生労働省は、審議会の議論を踏まえ、年内にも正式に取りまとめることにしている。人材サービス会社・田中美和共同代表、ホテルチェーン経営品質本部・星山英子本部長、東京大学・佐藤博樹名誉教授のコメント。