ホワイトボードに書き込まれた数字を見ると、日立は満額回答でベースアップは過去最高1万8000円。トヨタ自動車は6年連続の満額回答で最大で月2万1580円の賃上げを決定。大企業を中心に去年を上回る賃上げが相次いだ。総合スーパー大手のイオンリテールでは、バナナの品出しを行っていた女性もレジ打ちをする女性もパート従業員。この店舗では85%の従業員がパートやアルバイトだという。そのパートの待遇改善に重点を置き、正社員の5.89%を上回る8.38%の賃上げを決定。時給にして101円の引き上げ。対象は約9万人。人件費の増加は避けられないが、近藤健司人事総務本部長は「人材流出のリスクはあるので、どうやって入社いただいた方に定着して長く働いていただけるかは私たちの大きな課題だと認識している」と話した。大企業では好調な数字が並んだ今年の春闘だが、課題も浮き彫りに。5年間の賃金の伸び率をみてみると、20代は10%を超える一方、世代を追うごとに縮小。40代は5%前後、50代に至ってはマイナスになっているケースもある。こうした「ねじれ」現象の解消に取り組む企業もある。札幌市の運送会社は去年、新卒の初任給を30万円から業界では破格の35万円に引き上げた。さらに先んじて取り組んできたのが中高年層の賃上げ。40代以上が多く働くトラックドライバーの賃金を最大で15%アップ、管理職の給与も10%引き上げた。その結果、課題だったドライバーの離職率も大きく減ったという。中東情勢による物価高騰や景気減速への警戒感もくすぶる中、“実質賃金プラス”は持続できるのか。日本企業の本気度が試されている。
