森山松之助、八坂志賀助が手掛けた台北賓館は台湾総督の官邸として創設され現在は迎賓館として使用されている。フランスのヴェルサイユ宮殿に代表されるバロック様式の荘厳な建築美。円形や曲線のデザインが特徴でこれほどきらびやかな装飾は当時の日本では珍しいものだった。エントランスの奥にはステージを備えた大きなホールが。現地の有力者を招いて演奏会を開くなどされていた。また謎の棺があり、文献にはなぜここにあるのかもわからないと言うが、その棺には京都・嵐山の装飾などが施されている。森山松之助は東京駅を手掛けた明治の建築王の辰野金吾の弟子。しかし当時、日本国内では、森山のような若い建築家が活躍できる場所は無かった。日本の統治が始まったばかりの台湾はその才能を発揮できる絶好の場だった。外に作られた日本庭園は、亜熱帯の植物で造園されている。森山は台湾の風土や習慣を取り入れて独自の折衷様式を生み出していった。