台湾では78年前に「228事件」が発生した。1947年に当時の国民党政権が抗議活動を武力で鎮圧し、1万8000人以上が犠牲になった物となっている。頼清徳総統は「「228事件」は台湾社会のタブーで数十年間事件を口にすることすらできなかった」「二度と繰り返してはならない」と言及している。事件は中国から渡ってきた国民党政権の元で発生したもので、闇たばこを持っていた女性が殴られたことで衝突が起きたことで市民1人が死亡すると、抗議活動が台湾全土に拡大する中で犠牲が増えていくこととなった。台湾の民主化を訴えるために住民側は選挙の実施や言論・出版の自由など32か条の要求を行った。陳翠蓮氏は当時の運動は失敗に終わったが、自由と民主主義を求める台湾社会のうねりは止まりことなく1990年代に実現されることとなると話している。事件で祖父を亡くした黄さんは当時議員でもあった王添灯さんが32か条の要求について議論していたが、当局の関係者から連れ去られ帰らぬ人になったという。黄さんは王さんが「正しいことをしているのだから恐れる必要はない」と話していたと振り返った。戒厳令が布告され多くの知識人などが逮捕・処刑されていて、228事件は触れることもタブーとなっていくが、黄さんは外で228事件について話す事はできず無力感に襲われていたと振り返った。その中で黄さんが行っているのは228事件を演劇にして伝える試みで、現代の若者が1947年の台湾にタイムスリップして民主化のために闘う姿を目の当たりにする物語となっている。周りの人たちが亡くなる中で取り起こされた主人公は散乱する新聞をひろうとその中に32か条の要求について記載された記事を見つけ、これを現代に持ち帰るところで物語は閉幕となる。黄さんは「民主主義を維持し発展させるためにもっと努力しなければなりません」「それができなければ祖父たちの犠牲はむだになってしまいます」と話していた。