和歌山から災害の教訓を語り継ぐ取り組み。語り部として活動する那智勝浦町の久保榮子さん。深夜に突然濁流が押し寄せ3人とも流された。一命をとりとめた久保さんは絵が好きだったこともあり紙芝居で被災体験を伝えている。平成23年9月、台風12号が紀伊半島を中心に記録的な豪雨をもたらした。和歌山県内で最も被害が大きかった那智勝浦町では土砂災害や河川の氾濫が相次ぎ29人が犠牲となった。自宅があった場所から100mほど流された久保さん。偶然フェンスに引っかかり水に浸かったまま一晩を過ごした。翌朝まっ先に考えたのは家族のことだった。娘と再会し、数日後、夫が亡くなったことを知った。避難指示は出ていたがここまで大きな被害が出るとは想像もしていなかった。「誰にも同じ思いをしてほしくない」と語り部を始めて11年。紙芝居の上演はまもなく100回目を迎える。あの日の教訓をもっと伝えたいと久保さんは町内で被災した人たちへの聞き取りも続けている。この5年間で20人以上の話を聞きとり紙芝居の数を増やしている。紙芝居で災害の記憶と教訓を語り継ぐ活動はこれからも続く。