和歌山市の小学5年生、片山怜和さん。芸名は「にこにこ亭あっぽん」。怜和さんの愛称・あっぽんから名付けた。登場人物になりきった豊かな表情で観客の笑いを誘う。怜和さんは2歳のときに脳に腫瘍が見つかり、頭蓋骨の一部を開く大手術を行った。1年間の闘病生活を乗り越え、退院。現在症状は安定している。しかし記憶力や指先の運動機能などに後遺症が残った。そんな怜和さんに家族が提案したのが落語への挑戦。もともと自分で楽しい物語をいくつも考え、みんなを笑わせることが好きだった。同じように多くの人に笑いを届ける落語は怜和さんを一瞬で夢中にさせた。自ら進んで練習に取り組む娘の姿に母・美織さんは成長を感じていた。夏休み中のいま、練習しているのは「元犬」という演目。いつもかわいがっている愛犬と同じく、白い犬が主役の古典落語の人気作。犬が人間に生まれ変わるというコミカルなストーリーを表情や身振り手振りを使ってより面白おかしく演じたいと考えている。言葉遊びで笑いを誘う見せ場の1つ、間のとり方や話すスピードを意識して何度も練習をしていた。落語を披露する場所は和歌浦天満宮。怜和さんはこの寄席に特別な想いを寄せている。2歳で病気が発覚したとき、10時間の手術を受けることに。この神社は当時、家族みんなが手術の成功を祈ってお百度参りをしてくれた場所だった。迎えた寄席当日。練習した言葉遊びの場面では客席から大きな笑いが起きていた。寄席直後の怜和さんに出来栄えを聞くと、95点くらいと話した。
