短歌ブームの影響もあってか、去年10月に出版された万葉集を奈良弁に訳した本「愛するよりも愛されたい」も話題。例えば「彼のことが死ぬほど好きなのに誰も後押ししてくれない」と嘆く女性の詩に「恋ひ死なば 恋ひも死ねとや 玉桙の 道行く人の 言も告らなく」というものがあるが、これを奈良弁に訳すと「『キュンキュンして死にそう』って言ったら 『死ね』って言われるし 世間は冷たいもんや」となる。著者の佐々木良さんは原文にこだわらず大胆にアレンジする。発行部数はシリーズ累計で20万分を超えている。佐々木さんは「なぜ若者言葉を使っているかと言うと、当時歌を詠んだ人たちはすごく若い10代・20代ばかり。そこで若者言葉を使うと年齢層がちょうど合うから」と話す。ちなみに佐々木さんが主に手本としたのが「ギャル雑誌」。一目惚れした男性が詠んだ恋の歌「白栲の 袖をはつはつ 見しからに かかる恋をも 我れはするかも」=「白く輝くブラひもが ちらっと見えただけやけど 君のことが頭からはなれへん これって恋かな」となる。いつの時代も31文字の中に共感できる気持ちが込められていた。
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