米国のトランプ次期大統領は、新政権のエネルギー長官に石油天然ガスの採掘を手がける会社のCEOを起用すると明らかにした。就任すれば、化石燃料の増産などに取り組むと見られる。一方で、地球温暖化対策を重視する英国は、COP29で温室効果ガスの排出量を81%削減するという新たな目標を発表。再生可能エネルギーの導入を進め、特に洋上風力発電に力を入れている。ただ、課題も見えてきた。新たな削減目標は来年2月までに国連に提出することが求められているが、発表したのは英国が3か国目で、日本は現在、検討中だという。2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げる英国。2012年の時点では、発電量のおよそ40%を占めていた石炭火力をすべて廃止した。洋上風力発電の導入量のシェアは、去年英国が20%を占め、ヨーロッパでは1位となっている。中でも、風車を海に浮かべる浮体式は高度な技術が必要とされ、発電施設を海底に固定するアンカーなどの研究開発に力を注いでいる。一方で、課題もある。その1つが、電力を各地にスムーズに送る送電網の不足。洋上風力発電所などが増えることで、陸上の送電網がおよそ1000キロ、海の中の送電網が4500キロ以上、必要になる見通し。これは過去10年間で建設された2倍以上に上り、多額の投資が欠かせないという試算も出ている。専門家は、新しい電力システムに合わせたインフラ整備が課題になるとし、石炭火力発電の廃止には、風力や太陽光の容量を柔軟に埋めるガス火力発電の存在が大きく、これを再生可能エネルギーに置き換えるには多額の投資が必要だと指摘した。