おととし1年間に国内で死亡した日本人は156万人余りと初めて150万人を超えた。高齢化が進みいわば多死社会を迎えている。埼玉県でも過去最も多い8万2211人が死亡した。亡くなる人が増える中取材を進めると身寄りがなく引き取り手がないケースも増えていることが分かった。遺体の引き取り手がなければ火葬などは自治体が行うことになっているが直面する自治体では負担が増している。越谷市にある埼玉県警の施設には遺体が見つかったという連絡が入ると警察は検視などを行って事件性がないかを判断する。去年1年間の埼玉県警の検視などの件数は1万1905件とこの5年で20%増加した。増加の要因の1つが独居高齢死。去年は対象となった遺体のおよそ4分の1を占めた。中には、引き取り手が見つからず一定期間、安置しなければならないケースもある。こうした状況に対応するため埼玉県警は遺体を保管する設備の新設を決めた。増加する引き取り手のない遺体の火葬を担うのは自治体とされている。今回、NHKは埼玉県内の人口10万人以上の21の市を対象に引き取り手のない遺体への対応についてアンケート調査を実施し、16の市から回答を得た。この16市で昨年度、火葬した件数は少なくとも1504件。5年前に比べ24%増えている。遺体の一時保管や火葬の費用なども増加し合わせて1億3000万円余りに上っていることが分かった。火葬するまでには親族調査や遺骨の取り扱いなどの確認も必要だが、統一的なルールはなく自治体それぞれが手探りで対応せざるをえないのが実情。件数が年々増えてほかの事務に支障が出ている。アンケートでは「国に具体的な対応手順を示してほしい」と直面する状況に苦慮する声も多く寄せられた。火葬件数が増加傾向にある自治体の1つ、埼玉県朝霞市では火葬の前に必ず遺体を引き取ることができる3親等以内の親族がいないか一件一件確認している。ある高齢者のケースでは10人ほどに電話や手紙などで連絡。しかし、亡くなっている人もいて連絡が取れたのは1人だけだった。その1人にも引き取りは拒否され最終的に市が火葬や納骨を済ませ、費用も市が負担した。火葬してしまえば取り返しがつかなくなるため職員には慎重な対応が求められる。こうした引き取り手のない遺体を巡っては自治体の負担が増加する中で思わぬトラブルも相次いでいることが分かってきた。
住所: 埼玉県さいたま市浦和区高砂3-15-1
URL: http://www.police.pref.saitama.lg.jp/kenkei/
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