ことしは戦後80年。太平洋戦争によって親を失った戦争孤児は、少なくとも12万人以上と言われている。その孤児たちを終戦直後から受け入れ、支えとなった家がある。東京都中野区にある児童養護施設・愛児の家。施設で孤児を見守ってきた石綿裕さん(93歳)は今も現役の保育士。施設の始まりは裕さんの母・貞代さんが終戦の年に一軒家の自宅で孤児を引き取ったこと。家は広かったものの、ごく普通の主婦の家に最大107人が寝泊まりした。埼玉県に住む山内昭夫さん(84歳)は、愛児の家を本物の実家だと思っているという。山内さんは今でも毎年、実家である愛児の家に妻と一緒に帰っている。爆撃などによる犠牲だけでなく、子どもたちに飢えや孤独を余儀なくさせる戦争。裕さんの願いは、同じ境遇の子どもが二度と出ることのない世の中。
