1965年、愛知県西春日井郡で生まれた堀江しのぶ、本名：堀部しのぶ。高校生の時、地元では美人として評判だった彼女は様々なコンテストに出場しグランプリを総なめしていた。イエローキャブの野田社長から声をかけられ、この出合いからわずか7か月後に芸能界デビューした。芸能界に入ると周りは細い子ばかりで、ダイエットを始めた。過密スケジュールでもしのぶは文句1つ言わず笑顔だったという。活躍を周りが喜んでくれることが活力となった。
1987年10月、堀江しのぶは何故か急に痩せた。1988年1月、写真集の撮影と親孝行を兼ねて家族でハワイに言った。この2か月後、胃のあたりにチクチクとした痛みを感じた。4月上旬、ドラマの撮影中に数日前の衣装がキツくなっていた。その約1週間後、おなかは臨月のように膨らんでいた。検査をすると、卵巣に腫瘍が見つかった。一般的に健康な女性の卵巣は直径3cmほどだが、しのぶの卵巣はがんの影響で肥大化し握りこぶしほどの大きさになっていた。おなかの膨らみはががんが原因の腹水だった。
病理検査の結果、卵巣から胃がんの組織が発見された。片方の卵巣は摘出したが、転移したがん細胞は摘出できなかった。胃がんは主に50代前後から発症することが多く、原因はピロリ菌の慢性感染、喫煙、アルコール、塩分の多い食事などの生活習慣が挙げられる。しのぶはスキルス胃がんだったと考えられる。スキルス胃がんは発見が難しく、明確な原因は不明だという。一方でごく稀だがスキルス胃がんを発症しやすい遺伝子が存在することがわかっている。