古文書が、管理者の高齢化による世代交代などで処分されるなど、散逸してしまうケースが近年相次いでいる。失われゆく古文書の現状を取材。東京大学史料編纂所・村井祐樹准教授によると、近年、オークションサイトで出品される古文書が増えているという。保存につながるケースがある一方、買い手がつかず、処分されるおそれもあると指摘する。村井准教授の紹介を受け、長野県立歴史館の学芸員・村石正行さんを訪ねる。村石さんは管理に困っている人に寄贈を呼びかけるなど、古文書の保存活動に力を入れてきた。長年、蔵などに保管されてきたものが、価値が分からずに廃棄されてしまうことも近年では少なくないという。保存できた資料の中には、地元の災害の悲惨さを物語るものも。1783年に浅間山が噴火し、当時の中山道が噴火の影響で通れなくなり、非常に困っていると書かれていた。こうした災害の記録は、地域の避難計画に生かされることもある。東京大学史料編纂所・村井祐樹准教授は「処分してしまう前に、地元の自治体の教育委員会や博物館、文書館にまずは相談してほしい」と話している。