夜の東京・新橋駅前にポツンと座り込む1人の女性は、頭に手拭いを巻いた中村幸子さん(93歳)。「(月に)20日くらいは来てるね」という中村さんは、別の日も駅前に座り込んで靴磨きを行っていた。中村さんは、新橋駅前でおよそ60年間、サラリーマンを支え続けている“靴磨きおばあちゃん”。ほぼ毎日、駅前で靴磨きを行う中村さんは「大変ですよ!もうお尻は痛いし、腰は痛いし、足は痛いし。だけど、その大変さがまたいいんですよ」と話す。戦後、多く見られていた路上での靴磨き。家計を助けるため、中村さんは1960年頃から靴磨きを始めた。料金は60年間変わらず500円。中村さんは「『死ぬまで500円だよ』って(お客さんに)言ってるから、それ以上は上げない。学校も行かなきゃならないんでしょ?お金かかるじゃん。せめて靴磨きだけは(安く)」「人が喜んでくれれば、私は汚くなろうが、黒くなろうがいいの。お客様がきれいになれば、それでうれしいの」と話す。靴磨きを続ける中で、そのやりがいに魅了された中村さんの目的は、お金からお客さんの笑顔になっていた。中村さんの“アスヨク”ソング・大月みやこ「女の港」。