天安門事件から35年。犠牲となった若者の遺族は高齢化が進み、若い世代では事件を知らない人も多いのが実情。遺族の中には厳しい言論統制や監視に晒されながらも、中国政府に対し事件の真相の公表や謝罪・賠償を求め続けている人達がいる。事件の遺族でつくる「天安門の母」のメンバー・張先玲さんは今の気持ちを伝えたいと当局の監視をかいくくりNHKの取材に応じた。張さんは当時19歳だった息子の王楠さんを事件で亡くした。王楠さんは記者を目指し若者たちの記録を残そうと天安門広場に向かい頭に銃撃を受けたという。遺体は事件から3日後にようやく見つかった。政府に対し何が起きたのか何度も説明を求めたが答えはない。今年の追悼集会の開催は断念し、代わりに海外の動画投稿サイトに声明を投稿して中国政府に真相究明を訴えた。グループの中心メンバーの尤維潔さんは、夫が天安門広場にいたときに銃撃に遭い、2日後に死亡した。尤さんは中国政府に真相の公表を訴えてきたが、当局の締めつけは一層厳しくなり、遺族の活動は難しくなっているという。尤さんは「政府が隠蔽と沈黙を続け、若い世代は事件に関心を持たなくなっている」などと危機感を語った。