奈良県総合医療センターの救命救急センターに出勤してきた藤井医師。救急科専門医で8年目の若手。まず向かった先は入院病棟。10人ほどいる受け持ち患者の回診。その後、当直担当からの引き継ぎへ。その最中入院病棟から着信や、救急隊からの要請が。この日はERと呼ばれる救急車を受け入れる外来のリーダー。限られたベッド数でいかに患者を受け入れるかの管理も役割。次々と運ばれてくる患者の状態を見極めながら研修医の指導も行っていく。救急では、緊急度によって自力で歩ける程度の軽傷者は1次救急、入院や手術が必要な中等症から重傷の患者は2次救急、直ちに命に関わる重篤な患者は3次救急。それぞれ基準を満たした病院で治療を受ける。救命救急センターは3次救急で最後の砦となる場所。この病院では2次の患者も受け入れながら3次にも対応。専従の救急医と他の病院からの応援の医師など10人ほどで、年間約7000人を超える搬送を受け入れている。午後7時過ぎ、藤井医師は昼の勤務からそのまま当直のシフトに入っていた。運ばれてきたのは、路上で倒れていたアルコール依存症の男性。夜間救急医は2人で対応。さらに患者を断らないため、手術に対応する看護師や麻酔科医など20人以上のスタッフが院内で備える。実は、救急の専門医の数は年々増加。しかし約1万人が必要とされているのに対し、現在は6000人ほどと到底及んでいない。背景の1つには高齢化による搬送者数の増加がある。さらに2024年度から導入された時間外労働の上限規制。原則年960時間以内、救急などやむを得ない業務では年1860時間に収めなくてはならない。改革が進む一方、理想の実現にはより多くの人手が必要だと訴える。また救急の専門医の資格を持ちながら他の科で働く医師も多く、専門医の数が救急科に反映されているわけでもない。藤井医師は勤務開始から12時間、ようやく休憩。その後も患者は次々と運ばれてきて、この夜は10件以上を受け入れた。朝、藤井医師の姿は再び入院病棟に。日勤の医師へ引き継いだあとも病室で気管切開の手術に加わる。28時間の勤務を終え、退勤したのは昼過ぎだった。やりがいも含めて忙しいが楽しんで頑張れるという。
「3次救急」を断念し辞退した近畿大学奈良病院。23年前に救命救急センターを設置したが、今年3月救急医2人のうち1人が定年退職し、若手医師は症例数も人材も豊富な都市部を選ぶ傾向があり補充はできなかった。そこで今まであったICUと救命救急センターを合併し、新たに救急集中治療センターを設置。2次救急ではあるが重症な患者も引き受けていくという。やりがいに依存しない持続可能な仕組みづくりが求められるが、人手不足は救急科の専門医だけでなく、がんなど高度な手術を担う消化器外科医の不足も深刻化。20年後には数が半分になると試算されている。さらに看護師のなり手が年々減少。
「3次救急」を断念し辞退した近畿大学奈良病院。23年前に救命救急センターを設置したが、今年3月救急医2人のうち1人が定年退職し、若手医師は症例数も人材も豊富な都市部を選ぶ傾向があり補充はできなかった。そこで今まであったICUと救命救急センターを合併し、新たに救急集中治療センターを設置。2次救急ではあるが重症な患者も引き受けていくという。やりがいに依存しない持続可能な仕組みづくりが求められるが、人手不足は救急科の専門医だけでなく、がんなど高度な手術を担う消化器外科医の不足も深刻化。20年後には数が半分になると試算されている。さらに看護師のなり手が年々減少。
住所: 奈良県奈良市平松1-30-1
