愛媛は日本有数の真珠の産地。愛媛の真珠の生産量は4年前、大きく落ち込んでしまい、トップを長崎に譲って2位になっているが、4年前までは12年連続でトップだった。真珠の生産量を回復させて再び日本一を目指そうという、愛媛の真珠生産の最前線を取材した。宇和島市の真珠養殖場に到着したのは、ベトナムからの観光客。養殖方法の説明を受けた後は、一番のお目当て・真珠の取り出し体験をした。昨年度1年間で訪れた外国人観光客は200人近くにのぼる。今、真珠は世界的に人気で需要が高まっている。特にここ数年、インバウンドの売り上げが急増して価格は急上昇。1gあたりの価格は2020年と2023年を比べると2.5倍以上になった。男性にも真珠の人気は高まっている。ネット上の写真でも男性向けコレクションが増えている。愛媛の真珠業界にとってはチャンスだが、近年、アコヤガイの稚貝の大量死が起きている。愛媛では、真珠を育てる強い貝づくりと、真珠の品質向上という2つの柱で対策が進められている。愛媛県水産研究センターの主任研究員・西川智さんは、10年以上にわたって真珠養殖の研究を続けていて、関係者が最も頼りにしている。注目を集めているのが「貝のリンゲル液」。構想から25年、西川さんが完成させた。真珠を作るためには、アコヤガイの中に真珠のもとになる核と細胞片の2つを入れる必要がある。その細胞片を浸すために使うのが貝のリンゲル液。西川さんの調査では、1級品の真珠が出来る確率は、以前は2割に届かなかったが、開発した貝リンゲル液を使うと3割近くに達した。愛媛県内の養殖業者の7割以上が今年度、貝リンゲル液を使っている。もう1つの取り組みは、データを「見える化」すること。西川さんたちが採血した貝は、これまでに3万以上にのぼる。その結果、大量死しにくい貝として3つの条件が見えてきた。栄養状態の良さ、飢餓への強さ、生き抜くために大切な「殻」を作る能力の高さの3つ。その3つの条件を満たした強い貝同士を交配させることで、さらに強い貝を人工的に作り出し、生産者に配り始めている。
