東京・神保町にある大和屋履物店は明治17年創業の老舗履物店で、好きな下駄台と鼻緒を客が選んでオリジナルの下駄を作ってくれる。高度経済成長期には下駄の他にサンダル・スリッパ・傘など大量の商品を扱う店だったが、次第に経営が厳しくなっていって廃業寸前にまで追い込まれた。そうした中である時に4代目の娘さんと結婚した船曳竜平さんが大手生命保険会社に勤めていた2019年に店の近所で忘年会で4代目と店をどうしていきたいか話すタイミングがあり、酔っていたこともあって仕事を辞めて5代目に就任することを約束したという。まず竜平さんは保険会社時代に経験していたマネジメント業務の経験を活かして事業計画を家族一同で協議しながら立案し、三代目の「下駄屋を下駄屋としてシンプルに残していきたい」という思いと四代目の「人がたくさん集まって神保町を知ってもらえるような店にしたい」という思いから「文化をつなぐ店」をコンセプトにすることにした。そこから従来の豊富な品揃えの店を一変させ、厳選した下駄台と鼻緒を客がカスタマイズする店にリニューアルした。新装開店初日には多くのお客さんが訪れ、以来多くの常連さんに支えられるようになった。また店にはギャラリースペースを設け、日本文化の魅力を感じてもらえることも狙っているという。4代目の妹さんは型染め作家として下駄の鼻緒の一部なども手掛けていて、ギャラリースペースでのイベントや販売会などを主導しているという。一方リニューアル前から3代目が座って作業をしたりするスペースは残し、神保町の風景を残すことも意識している。
