町の中心部を東上線が駆け抜ける小川町は都内へ行く電車の始発駅で池袋まで最短60分余り。アクセスのよさが移住者を引き付けている。都内のIT企業に勤める男性もその魅力に引かれ1年ほど前に移住した。町では帰りの電車でも確実に座れるよう支援している。全席指定の有料列車、TJライナーについて移住者には料金を月に20日分、3年間補助する。さらに町は駅から歩いて5分ほどの場所に移住者を支援する施設を3年前に作った。およそ100年前に建てられた石造りの蔵を改修したコワーキングスペース。利用者はテレワークをしたり互いに交流を深めたりしている。この施設の常連、岩崎勇樹は築50年の中古住宅を700万円で購入し去年、さいたま市から引っ越してきた。1歳から中学生までの子ども7人の9人家族。7DKの家で子どもを伸び伸びと育てたいと考えてここを選んだ。以前は介護施設でマネージャーをしていたが、現在は独立して企業の人事や経理などの業務を請け負い自宅で仕事をしている。そのかたわら、週に2回は都内の福祉施設に出向いてリハビリの仕事も行っている。東上線によって小川町での暮らしと都内での仕事を両立させている。逆に休日になると小川町に帰ってくる人もいる。東京歌舞伎町でスナックを営んでいて早朝まで働いたあとは友人の家に泊まっている女性にとって、休みになると恋しくなるのは小川町の自然と人のぬくもり。ありすが住むのはシェアハウス。以前、小川町に移住してスナックを開いたがその後、都内に移転。それでも、生活の拠点は小川町に置いている。このシェアハウス、住む人も運営する人も移住者で場所はカレー店の2階。中には5部屋あり家賃は光熱費など込みで2万5000円。1階の店では移住者などが集まって定期的に交流イベントが開かれている。この日、ありすはスナックの常連客を誘った。地元の人たちも参加して町の外から来た人たちとの交流の輪が広がっている。