ではなぜ制度変更して先発医薬品の自己負担が増えたのか。厚生労働省の有識者検討会の委員で医薬品の産業政策に詳しい坂巻弘之さんは「国の医療費が非常にひっ迫している。分かりやすく言えば社会保障制度を守るため。」と話した。厚生労働省によると病気やけがの治療にかかる医療費は年々増加傾向にあり、2022年度は46兆円を超えた。国が負担する医療費を少しでも抑えるためには先発医薬品よりも安価なジェネリックの利用を促したいという。またジェネリックの販売数量ベースは8割を超えているが、金額ベースでは56%にとどまっているため厚生労働省は2029年度末までには65%以上にすることを目標としている。こうした背景があるうえで坂巻さんは薬の成分や効果を理解したうえで先発医薬品とジェネリック、自分にとってどちらがいいかを医師と相談し決めることが良いという。ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じ有効成分を持ちながら価格が安い医薬品だが、生産する企業が品質管理の不備など処分を受け出荷停止になる事例も多く、供給の不安が続いている。厚労省では現在ジェネリック医薬品の安定的な供給などを目指し生産する企業全てに自主点検をし、その結果を報告するなどの対策を促している。
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