茨城県の霞ヶ浦周辺に多く飛来する渡り鳥のマガモ。実は茨城の特産のある野菜を狙うやっかいものとして農家の頭を悩ませている。そんな中、茨城県ではおととしから天然のマガモを捕獲し、肉をブランド化する取り組みを始めている。「常陸国天然まがも」は弾力がありながら歯切れがよく野性的な香りとうまみの強さが特徴。茨城は全国有数の飛来地でこの冬も多くのマガモが飛来している。おなかをすかせたマガモが狙うのは茨城が生産量1位を誇るレンコン。昨年度のカモ類による農作物の被害額はおよそ1億5000万円。網を張るなど対策をしているものの、レンコンへの被害が多くを占めている。こうした中、県ではマガモの肉のブランド化に取り組んでいる。マガモを傷つけない網猟での捕獲が条件だ。伊野健一は米農家を営むかたわら、仲間と網猟を行っている。捕獲方法はむそう網と呼ばれる伝統的な網猟。捕獲用の池にマガモをおびき寄せ仕掛けた網を一気にかぶせる。網猟の免許を取得している伊野は法律で定められた期間や捕獲数のもと猟を行う。餌は食害などで売り物にならないレンコン。マガモに餌場と認識させるため毎日、池にまく。レンコンをまき始めてから10日後、いよいよ猟の本番だ。マガモが池にやって来るのは日暮れ以降。音や光に敏感なため20メートルほど離れた小屋に隠れる。午後5時過ぎ、マガモが次々と降りてきた。伊野たちが10日がかりで準備した仕掛けで43羽を捕獲。茨城県内では常陸国天然まがもを使った料理のフェアが2月15日まで開催されていて県内の複数の飲食店で食べることができる。