ウナギの稚魚の漁獲量は低い水準で推移していて、海洋環境の変化などが指摘され、こうしたなかでウナギの取り引きに新たな規制をかけるかどうかを話し合う注目の国際会議が来週開かれる。総務省によると、東京23区におけるうなぎのかば焼きの小売価格は去年1年間で平均1501円/100g。10年で2割値上がりしている。EUなどはウナギの国際取引に規制をかけようと提案した。ワシントン条約では絶滅リスクに応じて3段階の規制を設けていて、ニホンウナギなど全種を2段階目に含めようとしている。投票で賛成が3分の2以上なら採択される。採択されると、日本で漁獲したウナギはこれまでどおり取引可能。国内供給の7割を占める輸入4万4000トン余りあり、水産庁は、取引のたび許可書が必要なら価格上昇する可能性があるとしている。うな重など全国チェーン店を持つ山本昌弘社長は、「仕入れコスト上がりかねない。今の価格で客に提供できるか検討せざるを得ず心配」とコメント。水産庁などはEUの提案への反対を各国に働きかける方針。国内の研究者からは疑問の声が出ている。中央大学・海部健三教授は、ニホンウナギは減少していると考えられるとし、水産庁は都合の良い情報を抜き出していると批判している。ワシントン条約事務局も先月、採択を勧告すると公表した。ニホンウナギに関しては完全養殖の実用化に向けた研究も進んでいる。
