ブライダルのファッションデザイナーとして活躍した桂由美は昭和5年東京生まれ。後に洋裁学校を営む母の元で育った。戦争が暗い影を落としていた青春時代、演劇に夢中になり昭和24年共立女子大学家政学部に進学。30歳の時、デザインの縫製や技術を学ぶためパリへ留学した。パリの女性のエレガンスな所作や服装に刺激を受け、帰国した桂はウェデングドレスに関心を持った。雑誌の取材をかねて世界の結婚式を見て回った。花嫁をトータルコーディネートする専門店を開くため老舗のデパートに掛け合い続けたが呉服店には勝てず出展は叶わず。昭和40年、青山に「桂由美ブライダルサロン」をオープンした。さらに日本初となるブライダルファッションショーを開催。しかし当時の結婚式では9割が和装。着物が圧倒的主流を占める中、開店当初は苦しい経営が続いた。だが、女性のシルエットを美しく見せるドレスは徐々に評判を集め、昭和56年に世界進出を果たす。51歳の時、ニューヨークでショーを開き大評判に。アメリカ用に開発したほっそりしたラインのドレスはユミラインと呼ばれ、「桂由美」の名は一躍世界に知れ渡った。昭和50年代後半になると桂は織物や染め物など日本の伝統を駆使した作品を手掛けるようになった。平成15年、72歳からはパリコレに参加。和紙で作られたドレスはパリの人々を驚かせた。晩年になっても新たな美を創り続けたいという意欲を持ち続けた桂は女性一人ひとりの魅力を引き出し自分らしいウェディングを挙げられるように力を注いだ。