志明院は鴨川の源流を守るため平安時代の僧侶・空海が建てた寺。境内の奥の岩窟から滲み出る水は鴨川の源として信仰されてきた。ミカドシリブトガガンボの幼虫はコケの上でコケを食べて暮らしている。京都盆地は降った雨が集まり地下に溜まりやすい地形。その地下水は琵琶湖の水の量に匹敵し、盆地のあちこちで湧き出す。そこに多くの神社や寺が開かれた。湧き水の周りは湿度が高く、盆地のお陰で潤いが長持ちするためコケの生育にピッタリ。寺の軒先で子育て中のオオルリの巣はコケでできている。キシノウエトタテグモは近くを通る獲物を地中の巣で待ち伏せる。巣のフタはコケで作っている。クモタケはクモに寄生し、その体を栄養にして育つ。美しいコケ庭を保つには落ち葉掃除など日々の手入れが欠かせない。これがコケに頼って暮らす生き物を守ることに繋がっている。
住所: 京都府京都市北区雲ケ畑出谷町261