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「愛国主義教育基地」 のテレビ露出情報

北京市中心部から車で1時間。真っ赤な塀で囲まれたある施設を訪ねた。「愛国主義教育基地」は青少年に思想・道徳を教育する重要な場所として政府から認定を受けた施設。中を案内してもらうといわゆる“抗日戦争”をテーマにしている。「日本軍による犯罪」、「南京大虐殺」などの文字とともに日中戦争の資料が数百点ならぶ。その南京周辺の様子とされる写真には路上に大量の遺体が。残酷さを伝えるため修正は加えていないという。中国共産党が認定した愛国基地は585か所。共産党創立100周年となった2021年には新たに111か所が追加された。急増の理由について聞いてみると館長は「歴史を忘れることは裏切りであり歴史は最高の教科書だ。愛国主義を若者の心に根付かせなければならない。若者は祖国の未来なのだから。」と話した。青少年への愛国教育を重視する中国は10月、中国の国会にあたる全国人民代表大会の常務委員会で愛国主義教育法を可決。教育の全てのプロセスで愛国主義を徹底させることなどを定めた。この愛国基地では法律で義務付けられた課外活動で約2万人の小学生が訪れる予定だという。中国社会の最新事情に詳しい近藤大介さんは対日感情を刺激しかねないある条文に注目している。第28条に一定規模以上の地方政府に抗日記念式典を義務付けるとある。抗日戦争勝利記念日・烈士記念日・「南京大虐殺」国家追悼日を国家の「公祭日」として中国の津々浦々で抗日をたたえるイベントが行われる。これは日中関係を損なうひとつの要因となるという。本土だけでなく香港でも唯一の軍事博物館を“抗日”をテーマにしたものにリニューアルする構想を発表するなど広がりを見せている。そしてこの法律が重視するのは抗日だけではない。共産党創立100周年を記念した共産党歴史展覧館は約15万平方メートルの敷地に経済大国へ成長した歩みが解説されている。この施設も愛国基地のひとつ。新たな法律では共産党の歴史だけでなく「習近平思想」をはじめ、中国にとって不可欠な社会主義思想への理解も愛国に重要な要素と明記されている。子どもたちが見学していたのは習近平国家主席の生い立ちを紹介するコーナー。青年時代のエピソードの展示は習氏のほか毛沢東だけ。歴代指導者の中でも習氏の扱いは別格で、建国の父に匹敵する権威を印象づける狙いがある。館内にはほかにも習氏の顔写真とともに絶対的貧困の撲滅や新型コロナとの戦いなど最高指導者として人民のために勝利したとする功績を大々的にアピールしている。愛国主義教育法導入の狙いについて法律を制定した全人代常務委員会の記録では「愛国主義教育を幼いうちから脳に心に刷り込まなければならない。」とある。

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