ニコラスからの返事を待つ中、朗報が入った。本物のチキンカップを直に見られることになった。故宮博物院でチキンカップは一番奥のスペースにひっそりと展示されていた。台湾故宮にはチキンカップが12個もあるという。満州事変以降、蒋介石は北京の宮廷から第一級の文化財を選び運び出した。その宝物は国民党とともに台湾へ。職員の余佩瑾さんもチキンカップを見るのは久しぶりだと話した。チキンカップは独特の柔らかな光を放つ。闘彩という技法。明の第9代皇帝 成化帝が描かせた。繊細で女性的な器は妻の万貴妃のためにつくったともいわれている。清の第6代皇帝 乾隆帝はコレクションのひとつだったチキンカップに専用の収納箱を誂えた。余佩瑾さんにチキンカップに触らせてほしいと頼んだが規則があるので無理だと断られた。