今週、奈良県・天理で披露された1台のラジオ。100年前に放送を伝えていた鉱石ラジオを復刻したもの。ラジオを製作した大手電機メーカー、シャープの創業者・早川徳次。当時、日本では関東大震災で情報の断絶や混乱が起きたことから、正確な情報を速やかに広く伝えるため、ラジオ局を設立すべきだという機運が高まっていた。そして、1925年3月22日、日本で始まったラジオ放送。外国製のラジオを分解して製作を試みていた早川は、この放送の1か月後、鉱石に針を当てて音を出す、鉱石ラジオの製作に成功した。当時のラジオを復刻したいと動いたのはメーカーの元社員たち。早川が製作したラジオは設計図が残っておらず、当時の写真や資料、現物の寸法などを頼りに製作を進めた。復刻したラジオから聞こえてきたのは当時と同じ小さな音。100年前に思いをはせながら、レシーバーに耳を傾ける。日本ラジオ博物館・岡部匡伸館長は、これからの100年を考える一つのきっかけになるなどと語った。
住所: 長野県松本市筑摩3-10-1