渭東ねぎは徳島市渭東地区で70年ほど前から栽培されている。渭東ねぎの生産者・笹川さんとともに収穫最盛期のハウスへ向かった。渭東ねぎの出荷量は年間約600t。露地とハウスの両方で1年を通して生産されている。今回は特別に収穫体験を行い、採れたてを生で試食した。渭東ねぎは葉っぱ側は辛味が強く、白い根元側は甘みが強い。渭東地区では砂地でねぎを栽培するのが特徴。ねぎは水分が多すぎると根腐れを起こす性質があり、水はけのよい砂地は水が溜まらないため根腐れせず成長する。しかし、この畑が砂地になったのには驚きの理由が。昭和21年に発生した昭和南海地震で渭東地区は地盤沈下が起こり、田んぼに海水が入り塩害に見舞われた。農業を復活させるため生産者は吉野川河口の砂を田んぼに混ぜ込み農地の復旧を図った。しかし、砂地では米が作れず試行錯誤の末たどり着いたのが青ねぎの栽培。砂地の利点を活かして渭東地区は新たなねぎ産地として発展を遂げる。笹川さんは砂の色や湿り具合を注意深く観察しながら水量を細かく調節している。また、砂地の手入れには「一丁引き」というねぎの間を耕す道具を使用している。渭東ねぎは種から育てて約3ヶ月で収穫。出荷前には農家全員が集まりサイコロの出目で無作為にねぎを選び品質チェックを行っている。
