この日クリニックに向かったのは杉山文野さん(42)。打っているのは男性ホルモンの注射である。女性の体で生まれたトランスジェンダーの杉山さんは幼い頃から「女性」として生きることに違和感があった。現在は月に2度の注射で見た目は男性になったが、戸籍上は女性のままである。杉山さんは「生まれながらの体にメスを入れないといけないということは自分の中では腑に落ちなかった」と話した。日本の法律では戸籍上の性別変更を認める要件の1つに「生殖腺や生殖機能がない」ことが定められている。性別変更をしたい人に実質的に手術することを求め、高いハードルとなっている。最高裁では今、この項目が憲法違反であるかどうかをめぐり、明日判断されるという。海外では人権の観点からこの要件を不要とする国が増加しているが、日本は「現時点で合憲」と2019年に判断している。一方で「社会の変化に応じて継続的に検討すべき」と社会の理解が深まれば判断が変わる可能性もあるとして、含みを持たせている。
しかし杉山さんは「社会の理解より人権が先である。理解がないから進まない」と話した。杉山さんは現在、女性パートナーとともに暮らし、友人の精子提供により2人の子どもを授かったが「戸籍上は養母という形になっている」と話した。更に日常でも身分証の表記が女性のため、病院や役所手続きなどで頻繁にトラブルになっている。一方で手術を受けて女性から男性に変更した木本奏太さん(32)は「手術に対して思うところはあるものの、それをクリアしなければこの国に存在してはいけない」と話した。女性として生まれた木本さんが性別を変えられると知ったのは18歳の時で、大学卒業後に手術費200万円を貯金し子宮などを摘出する手術を受けた。更に木本さんは「手術条件がなかったらしていなかった」と話した。
しかし杉山さんは「社会の理解より人権が先である。理解がないから進まない」と話した。杉山さんは現在、女性パートナーとともに暮らし、友人の精子提供により2人の子どもを授かったが「戸籍上は養母という形になっている」と話した。更に日常でも身分証の表記が女性のため、病院や役所手続きなどで頻繁にトラブルになっている。一方で手術を受けて女性から男性に変更した木本奏太さん(32)は「手術に対して思うところはあるものの、それをクリアしなければこの国に存在してはいけない」と話した。女性として生まれた木本さんが性別を変えられると知ったのは18歳の時で、大学卒業後に手術費200万円を貯金し子宮などを摘出する手術を受けた。更に木本さんは「手術条件がなかったらしていなかった」と話した。