現状戸籍上の性別を変更するには、2人以上の医師から性同一性障害と診断を受けた上で、法律で定められた5つの要件を満たす必要がある。この内4つ目と5つ目は実質的に手術を求める要件となっていて、今回の裁判の申立人は「手術の強制は重大な人権侵害で憲法違反」として、手術無しでも性別変更ができるよう求めていた。そして最高裁は、生殖機能がないことを求める要件について「違憲」との判断を示した。2019年の最高裁では「合憲」としていたが、今回違憲とした理由について最高裁大法廷は、生殖機能がないことを求める要件は性同一性障害の人に対して、意思に反して手術を受けるか性別変更を断念するかの過酷な二者択一を迫るものとなっていると指摘。一方で「変更する性別の性器に近い見た目をもつ」ことを求める要件については、審理が尽くされていないとして判断を示さず、審理を高裁でやり直すよう命じた。今回の判断に申立人は、「予想外な結果で大変驚いている」としつつ、「先延ばしになってしまったのは残念」などとコメントした。またトランスジェンダーの杉山さんは、「やっとひとつクリアしたがまだ気は抜けない」として、「多様化していく社会に合わせて制度を更新することが大事」などと訴えた。