韓国のユンソンニョル大統領は先月15日、日本の植民地支配から解放されたことを記念する式典で朝鮮半島の分断を解消するための新たな統一構想を発表した。出石直解説委員のスタジオ解説「ユン大統領が示した新たな統一構想は自由統一。北朝鮮を日本や韓国のような自由で民主的な国にすることで南北の統一を実現するというもの。北朝鮮では人々が知ることができる情報は限られている。韓国のドラマやK−POPといった外部の情報に触れてもらうことで北朝鮮の人たちに自由の価値を知らせていくとしている。もう1つは人権。貧困や飢餓に苦しんでいる北朝鮮の人たちの人権状況を改善し韓国との自由統一を切望するようにしむけていくとしている。しかしハードルは相当高いだろう。北朝鮮は最近統一についての政策を大きく転換している。去年の年末に開かれた朝鮮労働党の重要な会議でキム総書記は韓国について統一を目指す相手ではないと宣言した。キム総書記が統一を目指さないのであれば北朝鮮の住民に直接働きかけることで社会の変化を促し自由統一を実現しようというのがユン大統領の考え。ユン大統領が新しい統一構想を8月15日に発表したのは、日本の敗戦によって植民地支配から解放された日であると同時に、事実上、朝鮮半島の分断の歴史が始まった日でもあるから。韓国政府系のシンクタンクが毎年統一意識調査というものを行っているのだが、南北統一が必要だと答えた人は10年前は7割近くあっただが、南北関係の悪化に伴って今年の調査では52.9%にとどまっている。ユン大統領はあくまで南北統一を実現するための新しいアプローチだとしているだが、北朝鮮にとってみればキムジョンウン体制の崩壊につながりかねない非常に挑発的な構想と受け止めていると思う。北朝鮮が過度に刺激して軍事的な緊張が高まることが心配される」。