島川慎一には忘れられない出来事があった。北京パラリンピックの選手村で憧れのケビン・オアーと偶然出会った。ケビン・オアーはアメリカ代表のヘッドコーチ。クラブチームでは全米選手権5連覇を果たした名将。島川はカタコトの英語でいつか日本代表のヘッドコーチになってほしいと語りかけた。2017年、ケビン・オアーが日本代表のヘッドコーチに就任した。バラバラだったチームの建て直しが始まった。目指したのは全員ラグビー。この競技において障害の程度が軽い選手はハイポインターよ呼ばれ攻撃を担う。障害の程度が重い選手はローポインター。相手にぶつかって進路を塞ぐ守備が主な役割。全員ラグビーのカギを握るのはローポインター。オアーが抜擢したのが女子の倉橋香衣だった。選手には持ち点が設定される。ローポインターは点数が低く、ハイポインターは点数が高い。コートに出る4選手の合計は8点以内に収めないといけない。だが女子が参加するとチームの合計点に0.5点が加算される。その分、より強力なハイポインターを起用することができる。オアーはハイポインターの意識を改めようとした。オアーはローポインターに対する無駄な気遣い感じていた。オアーは倉橋にものすごい勢いでボールを投げ、ローポインターを信じろ自分たちたちだけで戦っていると思うなと選手たちに伝えた。倉橋香衣は元々トランポリンの選手だったが練習中の事故で頚椎を損傷した。そんな中、車いすラグビーに出会った。倉橋はラグ車を自由に操れなかった。麻痺の影響で姿勢を保てず、体を起こせないことが要因のひとつだった。手を差し伸べたのはメカニックの三山慧だった。倉橋のチェアワーク向上の為、仲間たちは支え続けた。
迎えた東京パラリンピック。目指すは頂点。予選では連携がうまくいった。しかし準決勝、格下のイギリス戦でほころびが生じた。日本の強みであるハイポインターが相手選手に囲まれた。焦りが募り個人プレーに走るハイポインターたち。またしても準決勝で敗退した。倉橋香衣は相手の動きについていけずラグ車をあてることさえできない局面が目立った。さらに、ここでケビン・オアーが体調を崩し辞任することになった。日本代表に再び試練のときが訪れた。
迎えた東京パラリンピック。目指すは頂点。予選では連携がうまくいった。しかし準決勝、格下のイギリス戦でほころびが生じた。日本の強みであるハイポインターが相手選手に囲まれた。焦りが募り個人プレーに走るハイポインターたち。またしても準決勝で敗退した。倉橋香衣は相手の動きについていけずラグ車をあてることさえできない局面が目立った。さらに、ここでケビン・オアーが体調を崩し辞任することになった。日本代表に再び試練のときが訪れた。