先週5日、東京証券取引所の取り引き時間が70年ぶりに変更になった。これまで午後の取り引きは午後3時までだったが、30分延長されて午後3時半までとなった。これは取り引きできる時間を長くして市場を活性化したいというねらいがあるが、これに伴い決算発表の仕方を変える企業が出てきている。東証によると、決算発表は企業のおよそ8割が取り引き時間が終了する3時以降に発表してきた。取り引き時間中は内容によっては株価が大きく変動することがあるため、企業としてはそれは避けたいという思いがある。これに対して東証は「重要情報は決定しだい速やかに開示すべきだ」と企業に要請している。それに応えた大手素材メーカーが発表時間を2時間前倒しして午後1時にしたところ、株価が大きく動いた。株価の推移を紹介。午後1時に大きく値下がりし、大型の損失を計上したことに投資家は反応。ただ、翌日以降は買い戻しの動きが出て、株価は回復している。発表を前倒ししたことについて、会社の担当者、AGC・広報IR部長の小川知香子氏は「株価の絶対値には悪影響はなかった。むしろ発表時間が他社と重ならず、当日の説明会の参加が増えた」とコメント。ただ、長年の慣行を変えるのは簡単ではなく「取締役会の時間を早める必要があるため難しい」といった企業の声もあった。東証の制度改革に詳しい専門家の指摘。大和総研・政策調査部の神尾篤史は「重要情報は決定しだい速やかな開示が大原則。数字と一緒に背景や会社の考え方をきちんと説明することが大切だ」とコメント。