来月開幕する夏の全国高校野球の西東京大会に知的障害がある子どもが通う特別支援学校の野球部が史上初めて単独で出場することになった。大会に出場するのは世田谷区にある青鳥特別支援学校の野球部。選手は全員、軽度の知的障害がある。自身も高校球児だった久保田浩司監督は仲間とともに切磋琢磨し甲子園を目指す経験を障害がある子どもにも味わってほしいという思いから去年、この学校に野球部を設立した。キャプテンは3年生の白子悠樹君。野球の豊富な知識と面倒見のよさでチームをまとめている。去年夏の大会、青鳥は部員が9人に満たなかったため普通科の高校との連合チームで出場。5人がベンチ入りし1人が先発出場。チームとして大きな一歩を踏み出した。一方、白子君は走塁コーチとしてグラウンドに立ったものの試合に出ることはできなかった。白子君がキャプテンを務める新チームは去年の大会での活躍もあり6人の新入生が入部。部員は合わせて12人になり久保田監督は単独チームでの挑戦を決断した。白子君は、ことしの大会では外野手として試合に出ることを目指している。チーム力の向上はキャプテンとして心強い反面、レギュラー争いはしれつになっている。白子君には手足の筋肉が徐々に萎縮する難病もあり体が思うように動かせない。小さいころから野球が好きで中でもヤクルトの村上宗隆の大ファン。しかし中学校では危険だなどとして、野球部に入ることはできなかった。念願だった野球部での最後の夏、なんとしても試合に出たいと学校の練習が休みの日も一心不乱にバットを振り込んでいる。特別支援学校単独で初めて挑む夏、全力プレーを誓っている。