2025年。渋谷ではじめてオルカに会ったのは1年前。シャッターの降りた店の軒先にオルカはいた。顔を覆面で隠し毎晩3時間程度街角に立つ。ポーズを決めて動かない。突然動くと客は怖がって面白がる。こうして得る小銭でオルカは暮らしている。収入は1日1000円前後で他の仕事はしていない。それでも暮らしていけるのはオルカがホームレスだから。代々木公園にホームレスが暮らすテント村がある。200人以上のホームレスがここで暮らしている。オルカは20歳のときに札幌でホームレスをはじめた。その後、全国を歩き4年前にここに住み着いた。生まれつき眼瞼下垂という病気でまぶたがうまく開かない。細目とからかわれ、ひどいいじめにあった。いじめは心に深い傷となり人嫌いになった。その頃、街角でダンスを踊りウケたことで今の暮らしがはじまった。ボロ靴でテント暮らしでも覆面をして街角に立てば一人の芸人。おじさんと呼ばれても若い女の子の客はうれしい。バレンタインデーのこの日、義理チョコをもらった。東京都は代々木公園からホームレスを一掃することを決めた。テントゼロを目指す大規模なホームレス対策がはじまろうとしていた。4月の夜、オルカは代々木公園をあとにした。5年ぶりの札幌はお大きく変わり、たむろしていた場所がなくなった。すすきのの交差点でパフォーマンスをすると客は素直に楽しんでくれた。この日は2000円近く稼ぐことができた。24時間ひと目を避けることができない路上生活。オルカはふるさとにむかった。
