金原は総括に、インフラとは、家に水道が無かったらと考えないように、存在していることを意識させない存在だ。そういうものは、失って気づく。コロナ以後、高騰したホテルの宿泊代金のように家族や恋人との突然の別れのように、加速した円安のように、あれが当たり前ではなかったのだと、全ては諸行無常なのだと。インフラになりたい。黒田さんの言葉は、私たちが喪失し続けてきたあれやこれやをまざまざと想起させる。いつまでも変わらずそこにあるものなんてない、と思い知り続けた諦念は消えないけれど、数多の危機を乗り越え、代替わりをしてもその精神を守り続けてきた東横INNのあの青い灯りは、あらゆるものを諦めてきた私たちの仄かな希望の象徴となるのかもしれないとした。
