歌川広重の「東海道五十三次」。真ん中には足を洗っている男性がいる。旅籠屋に到着したばかりの旅人がタライの水に足をひたして道中の汚れを落としている。広重の描くおじさんは感情豊か。おじさんは江戸時代のリアルを伝えている。広重は何げない場面の中で丁寧に人々を描写することで、絵にストーリーを持たせていた。広重を一躍人気絵師に押し上げた「保永堂版東海道五十三次之内」。一番最初に大ヒットした東海道五十三次シリーズ。同じ顔・動きの人物はいない。広重は1833年から出版した「保永堂版東海道五十三次之内」から晩年までに20種以上の東海道五十三次シリーズを発表。東海道の中でも特に難所として有名な大井川の川渡しは保永堂版では風景をメインに描かれていたが、「人物東海道」は人がメインで描かれている。「東海道中膝栗毛」は弥次さん・喜多さんが東海道を旅する滑稽本。「東海道五十三対 二川」は物干し竿に吊るされた白い着物を幽霊を見間違えてひっくり返る弥次さん、喜多さんを描いたもの。広重の風景画にもユーモラスな描写が生かされている。
