開幕が近づくパリ五輪、注目アスリートに迫るコーナー。リオ五輪でアジア勢初のメダル獲得、日本カヌー界のパイオニア・羽根田卓也。今年のパリで5大会連続出場となる。オリンピック開幕の約1カ月前、相棒のカヌーとともに早くも決戦の地・フランスへ。今年で3回目の現地合宿。しかも調整を重ねているのは本番会場。パリ五輪のために新しく作られたコース。日本でトレーニングを重ねていた春先に近藤アナが取材していた。初取材は2年前。その後も度々取材、羽根田選手がパリ五輪出場を決めた瞬間も現場で見届けた。カヌーに乗れば表情は鬼と化す。水の流れは常に変わり続けるため、その流れに対応するため何度も何度もパドルを見ずに刺す。その様子を間近で見ていた近藤アナはパドルを一瞬とめるシーンに注目した。波を待つのはタイムロスに見えるが、どんな意味があるのか。羽田選手は「目が肥えてきましたね。自分の気持が先行してしまって水の流れを無視してしまうと良いカヌーの進み方ができなくなる。待つところは待つというのをしっかりするのが大切な競技」と話す。常に不規則な水の流れを力でなんとかしようとしてもうまくいかない。水に逆らわず水を利用する。そのために必要なのが「波を待つ」こと。速く進みたい、そのために待つ、この葛藤を乗り越え水と一体化する。経験に裏打ちされたカヌーの極意を武器に5回目のオリンピックへ。羽田選手は「戦闘モードになる自分を楽しみながら、競技者としてできるだけ高いところを目指して表彰台を狙って頑張りたい」と話す。