祖父・市川猿翁が亡くなって3年あまり。直接教わることができない中、市川團子は映像を繰り返し見てスーパー歌舞伎を受け継ごうとしている。8歳で歌舞伎界に入った團子にとって祖父は憧れの存在だった。猿翁のライフワークといえるのがスーパー歌舞伎。派手な衣装、現代語のセリフ、宙乗りなど、斬新な演出で伝統的な世界に新風を吹き込み、歌舞伎界の革命児と呼ばれた。團子は今作「もののけ姫」で初めて演出にも関わった。原作に登場するセリフ「生きろ、そなたは美しい」は「生きろ、生きろそなたは美しい」と「生きろ」を2回言う。1回目の生きろは大きな声でハッキリと、2回目の生きろは原作のようにか細い声で言う。猿翁と共にスーパー歌舞伎を創り上げてきた市川笑三郎は山犬モロの君を演じる。團子がアシタカを演じることで令和におけるスーパー歌舞伎の結果が出せたなどと褒めた。イノシシのタタリ神と戦う場面のクライマックスで披露される「百廻り」は、初めてのスーパー歌舞伎と知られる「ヤマトタケル」で猿翁がイノシシと戦ったシーンで披露されたもの。祖父の演出が孫へと引き継がれた。百廻りは他の作品にも入っているという。歌舞伎を見たことがない客からも絶賛され、スーパー歌舞伎誕生から40年の節目の年に祖父の志をしっかり引き継いだ。
